Windows 10ではInternet Explorerとは違う全く新しいブラウザであるコードネーム「Spartan」が搭載される予定です。
現時点ではSpartan自体を試すことはできませんが、新しいレンダリングエンジンはリモートでIEのテクニカルプレビュー版をテストできる「RemoteIE」で試すことができました。その方法と結果をメモします。
IEのテクニカルプレビュー版をリモートでテストできる「RemoteIE」
Microsoftではクラウド上のWindowsにインストールされたアプリをどこからでも使うことができる「Azure RemoteApp」というサービスを提供しています。
modern.IEのサイトからIEのリモートテストを申し込むと、「Azure RemoteApp」を利用してクラウド上のWindows 10プレビュー版にリモートで接続し、IEの最新テクニカルプレビュー版を試すことができます。
テクニカルプレビュー版IEはMicrosoft Azureのリモートデスクトップ上で動きますが、あたかも自分のパソコンで動かしているような感覚で使うことができます。
新ブラウザのSpartanや次期IEに搭載される予定のレンダリングエンジンを先行して試すことができるため、デザイナーやウェブ開発者の方には是非試し頂きたいサービスです。
RemoteIEの利用開始とRemoteAppアプリのインストール方法
前提としてRemoteIEを使用するにはMicrosoftアカウントが必要です。環境はWindows8.1で試しました。
RemoteIEの申し込み
RemoteIEに申し込むにはmodern.IEのテクニカルプレビュー版テストサイトを開き、Microsoftアカウントでサインインします。
サインインしたらロケーション選択画面になるため、「East Asia」(東アジア)を選択してSubmitを押します。ロケーションはリモートデスクトップの接続先となるため、実際はどこを選択してもOKです。
RemoteIEの申し込みは以上です。Microsoftアカウントのメールアドレスにメールがきますが、とくに確認しなくても使用は可能です。
Azure RemoteAppのダウンロード
次にリモートデスクトップ接続のためのアプリ「Azure RemoteApp」をダウンロードします。32Bit版のWindowsの方は「Azure RemoteApp for Windows x86」を、64bit版の方は「Azure RemoteApp for Windows x64」をダウンロードします。今回は試していませんがMacやiPhoneでも利用可能なようです。
アプリは実行ファイル形式ではなく「rdclientLauncher.application」というファイル名です。ダウンロード完了したらダブルクリックで起動します。
Azure RemoteAppのインストール
ClickOnceが立ち上がりアプリケーションをインストールするか聞かれるため「インストール」を選択します。
ダウンロード・インストールがはじまるためしばらく待ちます。
インストール完了すると開始画面になります。「Get Started」をクリックします。
RemoteIEに申し込んだものと同じMicrosoftアカウントのメールアドレスでサインインします。
もう一度サインイン画面が出てくるため同Microsoftアカウントとパスワードを入力してサインインします。
前の手順でRemoteIEに申し込んでいたことによりInternet Explorerの招待がiewebeco@microsoft.com
から来ています。チェックを入れて「Done」をクリックします。
IEのテクニカルプレビュー版がリモートアプリとして利用可能となっています。
ダブルクリックすると「IE Technical Preview」が起動します。
あたかも普通のIEのように起動しますが、タスクバーのアイコンにはリモートで動いていることを表すマークが付きます。
「IE Technical Preview」と通常のIEの違い
テクニカルプレビュー版と普通のIEの違いを調べてみました。
smile か frown で使用感をマイクロソフトにフィードバックできる
「IE Technical Preview」が起動すると最初にRemoteIEのサイトが開きます。テクニカルプレビュー版では画面の右上に顔文字のマークがあります。
ここでプレビュー版についてどう思うかを「スマイル」または「う~ん」で送ることができます。
バージョン番号が新しい
エントリ公開時点ではテクニカルプレビュー版のバージョンは11.0.9879.0
です。
それに対してWindows8.1の最新版IE11のバージョンは11.0.9600.17498
です。確かにプレビュー版のほうが新しいバージョンです。
UA(ユーザーエージェント)が異なる
エントリ公開時点ではテクニカルプレビュー版のユーザーエージェントは以下のとおりです。
Mozilla/5.0 (Windows NT 6.4; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML,like Gecko) Chrome/36.0.1985.143 Safari/537.36 Edge/12.0
IEなのにAppleWebKitやChromeという文字列がありますが、注目すべきはEdge/12.0
の表記でしょうか。昨年11月の公式のIEブログでも下記の通り「Living on the Edge」という表現とともに、ドキュメントモードはX-UA-Compatible
を無視してEdgeを推奨していくことが目標であることが書かれていました。
Public Internet sites will be rendered with the new Edge mode platform (ignoring X-UA-Compatible). It is our goal that Edge is the “living” document mode from here out and no further document modes will be introduced going forward.
ちなみにホストがten*.cpk-6nf-1b.ntwk.msn.net
となっているのはAzure上で起動しているためです。
右上の顔文字マークから「Reload page in compatibility mode」を選ぶと互換モードでのページレンダリングも可能です。
その場合は従来のIE11と同じく以下のユーザーエージェントになっています。レンダリングエンジンがTridentになります。
Mozilla/5.0 (Windows NT 6.4; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko
参考までにWindows8.1の最新IE11ではユーザーエージェントは以下のとおりです。IEのプレビュー版で互換表示をONにしたときとOSバージョン以外は同じです。
Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko
操作せずに時間が経つと接続切断
RemoteIEを開いたまましばらく操作せずに一定時間が経過するとリモートとの接続が自動的に切断されます。
その場合はOKボタンを押してリモートアプリ一覧の画面に戻ればもう一度プレビュー版を使用することができます。
おわりに
最新のレンダリングエンジンを体験できるのでウェブデザイナーの方にはとりあえずの動作確認としてオススメです。当サイトの見た目も確認してみましたが、ひとまずレイアウトのずれは無いようで安心しました。
今後はプロジェクトSpartanのブラウザもプレビュー版で使えるようになることに期待したいです。